なんだかふしぎなのよ、最近のわたし。ここに来てまだ三か月しかたってないんだけど、すごーく自分が変わった気がするの。どうしてかな? 
魔女のくらしのことや、ことばのこと、いろんなお話を聞いて、たくさんの勉強はしたけれど……。ほかには、日記と反省ノートをつけて、五感をみがくためのレッスンを続けているだけ。それなのに、ものすごく自分がピュアになっていくような気がするのよ。 前はものすごくおっちょこちょいで、あわてものだったのに、いまはずいぶんとおちついたみたい。ふむ、おしとやかになったってこと? 

うん……、なんていうのかなあ、いろんなことに敏感になったけど、でも前よりも冷静でちょっとのことで動揺しなくなったの。これってレッスンの成果なのかなあ?それとも、そうじゃなくて、魔女の森で自然に囲まれてくらしているからなのかなあ? 

さてさて、これからはどんなレッスンがわたしを待っているのかしら? それも楽しみだわ。

 
 

セカンドディグリー

~ファーストステップ~

 

■使い魔たちとなかよくする

メープル
「あー、いい天気。きょうみたいに天気のいい日は、一日中ひなたぼっこして過ごしたいなあ。ねえ、ウルフも、そう思うでしょ?」
ウルフ
「ウォッフォン!」
メープル
「あ、ちょっと、ちょっとぉ~! ウルフったら、どこへ行くのよ! 急に走り出さないで!」
ウルフ
「ごくごくごくごく……(川の水を飲む音)。」
メープル
「なんだ、ウルフったら、水が飲みたかったなのね。そうなら、そうって言ってくれればいいのに。あ、ちょっと待ってよ、今度はどこ行くのよぉ! んもぉー! ウルフったら、ちっとも言うこと聞いてくれないんだからあ。あんたを散歩につれてきてあげてるのは、このアタシなのよぉ! 」

 

ホントにやんなっちゃう! 犬って人を見るっていうけど、ウルフったら、わたしがまだまだ見習いだからってずいぶんバカにしてくれるじゃない? そうよ。このあいだいたずらをしかったときだってケロッとしててさ、あんたなんかにおこられたって、いたくもかゆくもないって顔しちゃって、にくたらしいんだから。ぜーったい、わたしバカにされてるわ。なによー、わたしが来てからごはんあげてるのわたしだし、ベットだってととのえてるのはわたしなのよー! そういえばこのあいだ、ブラッシングしてあげたときだって、おとなしくしてなかったんだわあ。アルマ先生にはあんなに従順なのに……。んもー、この犬ったら、やんなっちゃうー!

 

ウルフ

「……ウォ、ウォンッ!」

 急に耳を立て、ピクッとからだをふるわすウルフ。

メープル

「なに、ウルフ……。どうしちゃったの?」

ウルフ

「ウォン! ウォン! バフォンッ!」

メープル

「キャー! やだっ、どこ行くのよぉー! 急に走り出しちゃって。ちょっと、待ってよ、ウルフ! 止まりなさいってば! あー、もうヤダー!」



メープル

「あれ? でも、この道ってもと来た道? ってことは、家に引き返してるの?」

ウルフ

「ウォン! ウォン!」

メープル

「なに、ついてきなさいってこと? どうなってるの? そんなに急いで走って、ウルフったら、どういうこと?」

ウルフ

「ウォン! ウォン! バフォンッ!」

メープル

「あ!」

ウルフ

「ウォン! ウォン! ウォン!」

メープル

「どうしたんですか、アルマ先生! だいじょうぶですか!?」

 

散歩のとちゅうで、急に思い立ったように家に引き返したウルフのあとをついていくと、そこには、納屋のはしごの下にたおれるようにうずくまっているアルマ先生が! あら、たいへん! どうしよう?


メープル

「だ、だいじょうぶですか、アルマ先生?」

アルマ

「あ、いたたたた……。まいったわ、そのはしごをのぼろうとしたら、わたしとしたことがが足をすべらせてしまってね、落ちてこしを打ってしまったの。おまけに足もひねってしまって……。あたた……。」

メープル

「たいへん! 早く冷やさないと! 先生、わたしのかたにしっかりつかまってください!」

アルマ

「ありがとう、メープル。」

メープル

「よかったですよ、先生。ちょうどこのあいだ、先生から応急処置の方法と薬草やらしっぷ薬の作り方を教わっておいたところで。まさか、こんなに早く役に立つとは思いもしませんでした。」

アルマ

「ほんとによかったわ。教えておいたあとで……。」

メープル

「とにかく、しばらくはゆっくり休んでくださいね。あとはわたしにおまかせください!」

アルマ

「だいじょうぶかしら?」

 

ウルフ

「クゥーン……クゥーン……キュン……。」

ラズベリー

「ニャーニャー……ニヤー。」

メープル

「おまえたちも心配なの? でも、先生はいまねているんだから、じゃましちゃだめよ。あっ、こら! ラズベリー!」


 あーあ、ラズベリーったら、ちゃっかり先生のベッドにもぐりこんじゃって……。おやおや、ぴったりよりそってねちゃったわ。いったい、どうしたっていうんだろう? いつもは気まぐれで部屋のいちばんあったかいところで日なたぼっこしながらねているのに……。先生がケガしてていつもとちがうってことがわかるのかな? なんだろ、まるで看病しているみたいだ。そういえば、前に先生がかぜをひいてねこんでしまったときも、ああやってベッタリくっついていたっけ。うーん、ふしぎ……。

ウルフ

「……。」



 ウルフもへんよねえ。きのうはずいぶん遠くの山まで、散歩がてらにキノコとりに行ったのに、どうして、あんなに遠くにいてアルマ先生のケガがわかったんだろ? ふしぎだ、ものすごーくふしぎだ……。

~しゃがみこんで、ウルフをマジマジと見つめるメープル~


メープル

「ねえ、教えてよ、ウルフ。あんた、どうしてアルマ先生のケガがわかったの? わたしの言うことなんてちっとも聞いてくれないのに。」

ウルフ

「……。」

メープル

「ああ、もう そうやって、人のこと、バカにしたような目で見るんだから。もういちいちにくたらしいー!」

 

ドク・ホリディ
「なに、そこで七面鳥みたいに、青くなったり、赤くなったりしとるんじゃね、メープル?」
メープル
「あっ、ドクター。」
ドク・ホリディ
「どれどれ、先生のぐあいはどうかの? もっともわしが治療をせんでも、いい薬がここにはそろっておるで、治療をする必要はないかもしれんがの。いやいや、骨折しとらんでよかったわいな。」
メープル
「はい、ドクターホリディ。おかげさまでだいぶいいようですよ。」
ウルフ
「ウォン! ウォン! ウォン!」
メープル
「あっ、こら! ウルフってば、また悪さして!」
ドク・ホリディ
「フォッ、フォッ、フォッ。魔女の使い魔の前では、見習い魔女さんは手も足も出んのぉ。フォッ、フォッ、フォッ。」
メープル
「魔女の使い魔?」
ドク・ホリディ
「そうじゃよ。ウルフもラズベリーも、魔女に飼われている動物は使い魔というのじゃ。」
メープル
「魔女の飼う動物が使い魔っていうのは、聞いたことありますけど、でも、どうしてそう呼ぶんですか?」
ドク・ホリディ
「フォッ、フォッ、フォッ。魔女の飼う動物、すなわち使い魔とはふふつうの動物とちがってふしぎな力をもっているからじゃよ。」
メープル
「ふしぎな力?」
ドク・ホリディ
「さてさて、アルマ先生の足のぐあいをみんとな」

 

うーん、使い魔って、魔女が飼う動物のふしぎな力ってなんだろう? それって、ウルフが遠くにいても、アルマ先生がケガをしたのがわかったのと、関係あるのかな? アルマ先生がケガや病気をしたときに、看病するみたいにラズベリーがまとわりつくのも、なんか理由があるのかしら?

 

アルマ
「ありがとう、メープル。もうだいじょうぶよ、ささえなしでも歩けるわ。」
メープル
「よかった、先生が元気になって。これであしたからおいしいごはんが食べられるのでうれしいです!」
アルマ
「……。」
メープル
「よかったね、ウルフ、ラズベリー!」
ウルフ
「ウォン、ウォン、ウォッフォン!」
ラズベリー
「ウニヤーン……ゴロゴロゴロ……。」

 

メープル
「そうだ! ところで先生、聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」
アルマ
「なあに? いいわよ。」
メープル
「このあいだ、ウルフは、とても遠くにいたのに先生がケガしたことがわかって先生のもとへかけつけました。それはウルフが使い魔だから、ふしぎな力をもっているからなんですか?」
アルマ
「使い魔?」
メープル
「はい、だって 魔女が飼っている動物のことを使い魔というのだって・・・」
アルマ
「そうね、メープル。たしかに動物はふしぎな力をもっているわ。けれど、ふしぎな力をもっているのは人間も同じ。それは人間も動物だからよ。だから、どんな動物もどんな人間もみんなふしぎな力をもっているの。ただ、多くの人はね、自分のもっているふしぎな力をわすれてしまったの。そして、気づかないでいるのよ。魔女は、自分のもっているそのふしぎな力をみがいて、使おうとするの。それから、ウルフがふしぎな力をもっているのはなにも魔女が飼っている動物だからというのではないのよ。」
メープル
「???」

 

アルマ
「人と動物は心をかよいあわすことができるのよ。動物が話すことができないから、おしゃべりができないと多くの人は思っているみたいだけれど、動物にも感情があって、悲しんだり、喜んだり、いかりを感じたりするの。それはあなたにもわかるわね、メープル。ウルフやラズベリーがあなたになにか言いたそうにしていたり、ごきげんななめだったり、うれしそうにしていたりするでしょう?」
メープル
「はい、わかります、なんとなく……。」
アルマ
「メープル、前に七つのことばだけを使って会話をしなさいという修行をしたことを思い出してみて。あのとき あなたはなにを学んだかしら? ことばには表情があるということを学んだわね。それと同じよ、動物たちのしぐさや鳴き声にも表情がある。わたしたちがそれを注意深く見てあげれば、そのしぐさや鳴き声の意味を理解できるのよ。それは、動物たちのほうも同じ。動物たちはわたしたちの話すことばの意味は知らないけれど、そのことばの表情やわたしたちのようすから、わたしたちのことばを理解しているの。そして、なによりも心が通じていれば、どんなに遠く離れていても、飼い主であるわたしのようすかわかってしまうのよ。」
メープル
「心が通じていれば……ですか?」

 

アルマ
「そうよ。大切なのは心が通じあうことなの。ふだんからコミュニケーションを大事にしてね、愛情をいっぱい注いでいれば、人と動物は心が通じあうの。だから、離れていてもウルフにはわたしがケガをしてピンチだということがわかったのね。」
ウルフ
「クウーン……キュンキュン。」
メープル
「なるほど。ウルフとアルマ先生は心が通じあっているんですね。」
アルマ
「この子たちにはいつも助けられてるわ。ありがとう、ウルフ。あなたは私の守り神ね。危険から守ってくれるだけじゃなくて、なにかあったときにかけつけてくれるたのもしいパートナーだわ。」
ウルフ
「バッフアォン!」

 

メープル
「うわあ。先生の言うことだとわかるんですねえ。」
アルマ
「魔女は、動物と心をかよいあわせて、おたがいに助けあっていくものなのよ。だから、ふつうの人々は、動物とおしゃべりをして魔女のために働いたり魔女を守ったりしている動物たちのことを使い魔と言って、ふしぎに思うのね。でも、ただふだんからかわいがって、いつくしんであげれば、べつに魔女でなくても、だれだってペットを使い魔にすることはできるのよ。メープル、もちろんあなたもね。」
メープル
「わっ、わたしもですか? ウルフ、なかよくしよう! いい子だね! きょうもおまえ、ハンサムだよ。ラズベリーもおいで。うわあ、とっても毛並みがよくて、どこの貴婦人かと思っちゃったわよ。」
アルマ
「おせじを言ってもだめよ、本心からのことばや態度でないと。動物たちはことばの裏をちゃんと読んでますからね。」
メープル
「ギクッ!」

 

★ レッスン5★

あなたの家ではペットを飼っていますか? もし飼っているのなら、その動物たちをかわいがって、心をかよいあわす努力をしましょう。愛情をいっぱい注げば、その子たちはきっとあなたのかわいい使い魔になってくれますよ。

もし、ペットがいないあなたでも、友だちの家や町なかで見かけるいろいろな動物たちをふだんからかわいがっていれば、その動物たちはあなたがこまったときに、きっとあなたのためにふしぎな力を貸してくれることでしょう。

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~セカンドステップ~

 

■魔法の衣装を作る

アルマ

「おはよう、メープル! とってもいい天気ね! 今日は家中のせんたくものを一気にかたづけてしまいましょう。カーテンも、シーツも、テーブルクロスも、ふだん着もよそいきの服もなにもかもよ。」

メープル

「はい、先生。」

アルマ

「手分けしてかたづけてしまいましょうね。」



 ふうっ……。やれやれ、やっとかたづいたあ~。 こんなにせんたくしたのって初めてかもしれないわ。ああ、つかれた。でも、その代わり、午後はせんたくものがかわくまではお昼寝タイムになったから、もうけものかな。おいしいランチを食べて、とりあえずすずしい木かげでここちよい風を受けながら、ひと休みだわ。

 

メープル
「さてと、そろそろせんたくものがかわいたころかな。あれえ? やだあー、こっちのせんたくもの、全部しわくちゃ、なんかボロッちい。それに比べてこっちのせんたくものはパリッとしてて、まるで新品みたい。 あっ、こっちのボロッちいのはわたしがあらった分だ。こっちのパリッとしてるのはアルマ先生があらった分……。えっー 、なんでこんなにちがうの?」
アルマ
「どうしたの、メープル?」
メープル
「アルマ先生! これも魔法なんですか?」
アルマ
「え?」
メープル
「右側のせんたくものと左側のせんたくものを見てください。同じようにあらったものなのに、見た目がこんなにちがうんです。だってほら、このカーテン、片側ずつわたしとアルマ先生で分けてあらったものなのに、わたしがあらったほうはこんなにしわくちゃなのに、アルマ先生があらったほうは新品みたいじゃないですか! これが魔法でなかったら、なんでしょう?」
アルマ
「ウフフ、メープル。いいところに気がついたわね。ええ、そう。おせんたくにもね、魔法があるの。それはとってもかんたんな魔法なのよ。そうやってね、せんたくのときに魔法をかけたもの、とくに洋服は魔法の衣装になるの。」
メープル
「魔法の衣装ですか? ふひーん。せんたくものにかける魔法、ぜひ教えてください!」

 

アルマ
「では、さっそく始めましょうか。」
メープル
「はいっ!」
アルマ
「ねえ、メープル。この洋服は、どうしてここにあるのかわかる?」
メープル
「はい?」
アルマ
「この洋服は、最初は一本一本の糸だったのよ。ううん、その前は植物だったり、羊の体毛だったりしたの。それをね、糸や毛糸に加工してくれた人がいて、その次にその糸や毛糸を布地にしてくれた人がいるの。またその次に、その布地をこうやって洋服のかたちに仕立てた人がいるのよ。そして、お店に売られて、それをあなたが買ったというわけなのよ。わかるわね、メープル。」

 

メープル
「はい、わかります。」
アルマ
「この服はたくさんの人の間を旅して、あなたのところにやってきたの。つまり、いろんな人があなたのためにこの洋服を作ってくれたのよ。このたった一枚の洋服には、たくさんの人の思いがこめられているの。これはとてもすごいことなのよ。」
メープル
「うーん、そんなふうに考えたことありませんでした。」
アルマ
「洋服をあらうときに、そのことを思い出してみるのよ。この洋服を作ってくれた人、糸や毛糸を提供してくれた動物や植物のことを思ったり、感謝したりするのよ。メープル、そのことを考えながらあらってみてね。どう、どんな感じがしてきたかしら?」
メープル
「なんだか、気持ちがポカポカして、いつも着ているこの洋服が、なんかちがって見えます。ふしぎです。ええ、よごれの一つ一つがよく見えるような気がしてきました。」
アルマ
「わたしはね、この洋服を作ってくれた人に感謝するのももちろんだけど、この洋服を着たときの楽しかったことやなんかをいろいろ思い出してみるのよ。そうすると、気持ちがあったかくなるの。なんだか、この洋服のことがいとしくて、ああ、大切にしよう、大切に着たいな、長く着られるといいなってそう思うの。」
メープル
「うんうん、なんだか、わかってきました。」
アルマ
「ほすときも、たたむときもそうよ。洋服は、おしゃれを楽しむだけじゃなくて、暑さや寒さから私たちを守ってくれるものでしょ。この服を着てると、いろんなものから守ってもらえるんだ、自分はとってもハッピーなんだって、そう思いながらあつかうといいのよ。そうやって、あらった洋服には、魔法がかかるから、魔法の衣装になるの。」
メープル
「えー、それだけで魔法の衣装になるんですか?」
アルマ
「あとでそれをたしかめてみましょうね。」

 

メープル
「かわいてる、かわいてる。やっぱり、天気がいいからすぐかわくんだわ。あ、これってわたしがあらったものよね? きのうあらったものとはえらいちがいだわ! まるでアルマ先生があらったみたいにパリッとしてる。」
アルマ
「メープル、これはきのうあなたがあらった洋服ね。ちょっと着てみて。どんな感じがするかしら?」
メープル
「ごわごわしてて、なんか気持ち悪いです。見た目もしわくちゃでみっともなーい。」
アルマ
「こっちはきょうあなたがあらったものね。」
メープル
「うわっー! なんかふかふかしてて、気持ちいい。ぜんぜんちがいます! それにパリッとしてて、いい感じです。なんだか自分がよく見えます。」
アルマ
「わかったわね、メープル。これが魔法の衣装とそうでない衣装のちがいなの。」
メープル
「うーん、なっとく。」

 

アルマ
「それから、肝心なこと、ひとつ言い忘れてたわ」
メープル
「なんでしょう?」
アルマ
「洋服を魔法の衣装にかえる方法よ」
メープル
「うわ! ぜひ、知りたいです! 教えてください。」
アルマ
「お洗濯をするとき、自分の心を洗うような気持ちでね。そして、お洗濯をするときは、汚れが落ちていくのと同時に自分の心の汚れも落ちていくことをイメージするの」

 

メープル
「え??」
アルマ
「ちょっとわかりにくかったわね。そんなに難しく考えなくて大丈夫よ。こんな感じよ。洗濯物をあらうときにね、もしも、最近いやなことや悲しかったこと、怒りを感じたことがあったなら、それを思い出すの。そして洗濯物を洗いながら、そのとき思ったふゆかいな感情だとか悲しい気持ちとか、怒りの原因とかが心の中から消えていくのをイメージするのよ。汚れが落ちて、洗濯物がきれいになっていくごとに、もやもやした感情が自分の中から洗い流されていくようにね。水がきれいになったら、心の中もわだかまりもすっきりするはずよ。そして今度はね、きれいになった洋服のしわをピンと伸ばして、もうだいじょうぶって思うのよ。次に、お日様にむかってほすときにね、太陽のパワーを洋服がたくさん吸収することをイメージするのよ。この太陽のパワーがきちんと洋服に吸収されるとね、悪いものを遠ざけて、いろんなことからその洋服を着る人を守ってくれるの。お日様が洋服から水分をすっかり乾かしてくれたなら、その洋服が魔法の衣装になった証拠なのよ。」
メープル
「し、知らなかった。」

 

★レッスン6★

自分のおせんたくもの、ちゃんと自分であらっていますか? もしかしてお母さんにすべてまかせっきりでは? だとしたら、せめて下着だけでも自分であらいましょうね。
 そして、せんたくものをほすのを手伝ったり、たたんだり、そういうことだけでもお手伝いしましょう。また、くつををあらうことくらいは自分でできますね。

 洋服をきちんとたたんでしまう。ぬいだ服をだらしなくぬぎっぱなしにしないで、せんたくものとして出すときにきちんと分類して出す。それだけでも、やりましょう。そして、自分を守ってくれる洋服やくつを大切に。あなたもふつうの洋服を魔法の衣装に変えましょう。

 

魔女のファッション

魔女が好む服装とおしゃれについて

魔女はからだをしばりつけたり、苦しめたりするような服を着ることは好みません。つまり、ぎゅうぎゅうしたきゅうくつな洋服は着たがらないということです。魔女はゆったりとした、からだにやさしい洋服が好きです。
 魔女はなによりも自然とともに生き、ありのままに生きようとします。ですから、衣服も天然素材でできたものや手作りのものを好みます。天然素材の衣類とは、麻や木綿などで作られたものです。こうした自然素材を身につけることは、魔女にとって「自然に包まれる」「自然を身にまとう」ということと同じになります。

 ただし、絹(シルク)の布は、かいこのまゆをかまゆでにして作られる生地ですから、魔女の好みには合いません。とはいうものの、現在のこのご時世で、素材にこだわりすぎていたら、魔女にはファッションを楽しむなんて無縁なことになってしまいます。魔女だって、おしゃれはしたいのです!  それに、現代の魔女はとてもいそがしくしていますから、一枚一枚洋服を夜なべして手作りしているひまなんてないのです。

 では、魔女がふだんどんな服装をしているのかをお話ししましょう。先にもふれたように、魔女は天然素材が好きです。だけど、おしゃれも楽しみます。魔女は生きることを楽しむ人たちなので、きれいな洋服やアクセサリーを身につけて、せいいっぱい自分を魅力的に輝かせようとします。お化粧もします。そして、美貌にだってみがきをかけるんです。なぜって、からだは神さまからの授かりものだから、大切にしなくてはいけないと魔女は考えているのです。神さまからもらったせっかくの顔立ちやからだを大切にして、もっともっときれいになろうと努力したり、おしゃれをしたりするのです。そしてそれによって周囲の人をも楽しませることは、魔女にとっても大切なことなんですよ。

 そうそう、お洋服を作ったり、ほつれた衣服を直したり、ぬいものもりっぱな魔女の魔法なんですよ。

 

~サードステップ~

 

■エネルギーの魔法をかける

ニャーン!
 ううーん、重い……と思ったら、ラズベリーがあまえた声でわたしにすりよってきたわ。

「おはよう、どうしたの? おなかすいたの? んっ?」

 ベッドの上のラズベリーを抱きおこしてみると、テーブルにメモ書きがあるのを発見。

"おはよう、メープル。夕べはよく眠れましたか? さて、わたしは今朝、急な用事がはいったので出かけることになりました。帰りは日が暮れてからだと思います。きょうのお仕事を終えたら、あとの時間は好きなことをして過ごしていてね。"

ですって! やったー! そうしたら早めにいろんなことをかたづけて、のんびりしようっと。見たいテレビもあるし、お天気がいいから、ウルフとかけっこしてラズベリーと昼寝しよう!

 

おそうじやおせんたくをかたづけてから、アルマ先生が作っておいてくれたランチを食べる。そういえば、わたしここに来てからいろんなお手伝いをしているけれど、ごはんはいつも先生が作ってくれているんだわ。お野菜の皮むきや食卓の用意やかたづけは手伝っているけれど、作り方はまだ教わってないなあ。 

 あれっ、カレンダーのきょうのところに印がある。なんの印だっけ? あっ、そういえばきょうはアルマ先生の誕生日だったんだ。うんうん、このあいだその話が出て、わたしがわすれないようにって印をつけたんだった。

 よし、ひらめいた! きょうはわたしが夕食のしたくをしよう! 先生が帰ってくる前にね。だって、誕生日くらいはらくさせてあげたいもんね。日ごろの感謝の印よ。でも、先生っていくつなんだろう? 聞いたらきっとおこられるだろうな。 

 とはいうものの、なにを作ったらいいんだろう。やっぱり、誕生日といったらごちそう。ごちそうといったら、大好物よね。先生の好きなものってなんだっけ? ああ、ジャガイモが好きだって言ってたっけ。それから、ローストしたチキンもだわ。レシピは……そうだ、たしかキッチンの引き出しにアルマ先生が使っているお料理の本があったはず。ああ、よかった。作り方のってるわ。だけど、うーん、なんだかむずかしそう。わたしにできるかなあ。とにかくやってみようっと。なにごともチャレンジよ、メープル。

 

うわあ、どうしよう! パンの粉が手にくっついちゃった。おかしいなあ。いつもアルマ先生が作ってるときは、ちゃんとかたまりになってるのにわたしがやるとかたまりにならない。んっ? なんかにおう。あっ、マッシュポテトこがしちゃったよぅ。キャア~、どうしよう~! 

 わーん、どうしてだろう、外側はこげてるのに中がまだ焼けてないよ~。ええいっ、もう一回焼いてみよう。デザートは……ほっ、よかった。ケーキをあきらめて、冷やしてかためるプリンにして正解みたいね。これだけはなんとかできたかなあ。あーあ、なんか台所がめちゃくちゃになっちゃった。とほほほ……。

 

アルマ
「ただいま、メープル。あら、おいしそうなにおい。」
メープル
「おかえりなさい……アルマ先生。」
アルマ
「どうしたの? 元気がないわね。」
メープル
「それが……じつはその……。」
アルマ
「まあ! すごいわ、メープル! このお料理、あなた一人で作ったの?」
メープル
「そ、それが失敗しちゃって……。」
アルマ
「失敗ですって? でも、すっごくおいしそうよ。わたし、じつはおなかペコペコなの! すぐに夕飯にしましょう。ね、メープル。」

 

アルマ
「すごくおいしいわ、ありがとうメープル。それから、わたしのお誕生日を覚えていてくれてありがとう。」
メープル
「テヘヘ……。すみません、ほんとうはもっとおいしく、ちゃんと作りたかったんです。でも、こがしちゃうし、パンはふくらまないし、味つけもいまいちで失敗しちゃってすみません。」
アルマ
「そうかしら? でもね、メープル。お料理は失敗したかもしれないけれど、あなたの魔法はしっかりわたしの空腹を満たして、ちゃんと成功したのよ。」
メープル
「わたしの魔法?」
アルマ
「そうよ、あなたの魔法はちゃんとわたしにきいたの。」
メープル
「???」
アルマ
「なんのことだか、わからない? そうね、まだわたしはあなたにお料理の魔法のことを話したことがなかったわね。」
メープル
「お料理の魔法ですか? そんな魔法があるんですか?」
アルマ
「ええ、メープル。すべてのお料理はね、魔法なの。というより、お料理は魔法になるのよ。ただし、きちんと心をこめればだけど。」
メープル
「は、はい。」
アルマ
「では、お料理の魔法のことをお話ししましょうね。」

 

いのちを頂くということ

あなたの空腹を満たしてくれるその食べものは、もともと何処にあって、誰があなたのところに運んできてくれたのでしょうか? そんなことも考えてみましょう。そう、その食べものは誰かが作ってくれて、あなたのところに運んできてくれた誰かがいて、お料理してくれる人がいて、そしてやっとあなたが食べれるのです。食べものがどんな旅をして、おなかがすいたあなたの胃袋におさまったか、ちゃんと考えてみましょうね。


つぎに、こんどはその食べもの、たとえば野菜やお肉、たまごやお魚にどのような栄養がふくまれていて、その食べものによって、わたしたちがどれくらい元気になるのかを少し考えてみましょう。人間は水や食べものがないと生きていけません。おなかがすいているままだと、働いたり考えたりする力が出てこなかったりします。食べものはわたしたちにとってはなくてはならないエネルギーのもとなのです。このエネルギーをとることによって、わたしたちはからだを動かしたり、いろんなことをする力を得られるんですよ。

さて、生で食べられるものはそのままでもおいしいものですが、いろんなものをバランスよく食べたり、よりおいしく食べるために、人は料理をします。おいしく食べるということはとても大切なんですよ。なぜって、悲しいときに食べたり、おこりながら食べたりすると、食べものは悲しいエネルギーやいかりのエネルギーになってしまうんです。それはからだにとってもよくないことなんですよ。こういうエネルギーはいろんなことをする力にはなってくれなくて、病気をつくりだしてしまうんです。だから、食べものは楽しく、おいしく、笑いながら食べなくちゃいけないんです。

けれど、いくら悲しみやいかりのないときでも、おいしくないものを食べると気分がよくなくなってしまうときもありますね。そうすると、やっぱりよくないエネルギーをからだにためこんでしまうのです。そしておいしくないと、もう食べたくなくなっちゃって、よっぽどおなかがすいていないかぎりは残してしまうこともある。それは食べものや命をむだにしてしまうことであり、わたしたちに食べられるために、犠牲になってくれた食べものに対してとても失礼なことです。これもよくないですね。

 

「だから、わたしたちは食べものが、その食べる人のよいエネルギーになるように、おいしいと笑顔が出るような食べものにしようと一生懸命作らなくちゃいけないんですよ。そして、食べた人においしいと喜んでもらえたとき、食べものはその人の命をかがやかせるすばらしいエネルギーになるのです。そのとき、魔法は成功して、作った人は食べた人に魔法をかけたことになるの。」


メープル

「でも、先生。わたし、ぜんぜんおいしくできませんでしたよ。」

アルマ

「メープル、あなたは一生懸命、わたしの好きなメニューを選んで作ってくれたのよね。お料理の魔法に味をつけるのは調味料じゃないのよ。この料理にはあなたの気持ちがいっぱいいっぱい入ってるの。最大の調味料は食べる相手を思う心なのよ。思いやりと愛の気持ちがたくさんこめられたこのお料理、こんなにおいしいお料理をわたしは初めて食べたわ。わたしはたくさんのエネルギーをこのお料理からもらって、健康の魔法をいっぱいかけてもらったの。メープル、お料理の魔法を成功させるひけつは、どれだけたくさんの心をこめたかということなのよ。」

メープル

「お料理ってそんなにすばらしいものだったんですね! 先生、わたしもっともっとお料理がじょうずにできるようになりたいです! あしたからいろんなお料理を教えてくださいね。それからデザートの作り方も!」

 

★レッスン7★

あなたはお台所でお母さんのお手伝いをしたことがありますか? お料理をしたことは? なければ、あしたから始めてみましょう。
 最初はとてもかんたんなお手伝いでいいのですよ。そして、次に料理にも挑戦してみましょう。少しずつ教わりながら、気楽な気持ちで一つ一つのお料理を覚えましょうね。心をこめて、食べてくれる人のことを考えながら……。その気持ちが魔法になって相手にうまくかかりますようにと、願いをこめて。

 そして、大好きな人にとっておきの魔法をかけられるように、レッスンしておきましょう。

 

魔女の食生活

魔女の好きな料理

魔女が食べるものといっても、ちっとも特別じゃありません。ほんとうに、ごくふつうの、みなさんとまったく同じものです。スーパーでお買い物をして、野菜やお肉を調理して、魚を焼いたり、たまごをゆでたり、パンもごはんも大好きです。ケーキやあまいものだって大好きですし、作ったりもします。

 魔女は、神さまから授かったからだをとても大切にしなくてはいけないと考えています。だから、からだによいものを食べるのが好きです。ではからだによいものがどんなものかというと、たとえばお野菜なら農薬とか化学肥料とかを使わないで作られたもの、きゅうくつなところにおしこまれてではなく、野にはなされ、化学飼料ではなく、草原にはえる草などを食べて育った健康的な牛やブタ、鳥など、汚染されていないきれいな海や川でとれた魚や海草などです。そしてそれらは、着色料や人工的な組成分を加えられていないことが大切です。

 魔女は、からだによくないとされている食べもの以外は、なんでも食べます。とくにこれを食べてはいけない、というような決まりごとはありません。ただ、魔女は自分がどうしても好きになれない食べものはむりして食べなくてもいい、と考えています。こんなことをいうと、あなたの好ききらいをなんとかなおして、なんでも食べてもらおうとしているお母さんに苦い顔をされてしまうかもしれません。

 どうして魔女は、きらいなものを無理して食べなくてもいいのかといいますと、きらいということはからだが受けつけていないということ、つまりからだがその食べものにふくまれている栄養を必要としていないからだ、と考えるからなのです。きっと、からだがその食べものを必要とするときには、自然と好きになって食べられるはずですから。



 魔女は、食べものを自然からのおすそわけと考えています。食べものは、自然がわたしたち人間のとり分として与えたもので、野菜も穀物も魚も動物たちも、わたしたちを生かすために命をくれたのだと考えます。食べものをそまつにすることは、わたしたちのために犠牲になったくれた植物や動物たちの命をむだにしてしまうことなのです。だから、魔女は食べものを大切にします。必要以上の狩りや収穫はしないし、備蓄しても食べきる分だけです。食べものを買いこんでくさらせたり、食べきれない分をお皿にとることはありません。

 自然をよごさずに農業や酪農、漁業をして食べものを得ること、そうした安心できる食べものをむだにせず食べること、それでもゴミとしてあまってしまったら、大地にもどしてリサイクルすること、これが魔女の理想とする生活なのです。

 

~フォースステップ~

 

■悪霊や災難から家を守る

オーク爺さん

「それじゃ、アルマさん。伝言は伝えたから、後は頼んだよ。」

アルマ

「ええ、承知しました。では、明日の朝一番におうかがいするとしますね」

メープル

「?? アルマ先生、明日はお出かけするんですか?」

アルマ

「明日は村外れまで出かけるわ。メープル、あなたも一緒にくるのよ」

メープル

「えっ、私も一緒に連れてってくれるんですか」

アルマ

「ええ・・だけどね、メープル、遊びにいくわけでもお買い物にいくのでもないの。パインニードルさんのおたくに悪霊祓いにいくのよ。だから、そのつもりでね」

メープル

「ええーっ!悪霊祓いですって!」



 やった! ついにドキドキ・・・こわい、でも知りたい・・みたい! いったい、どんなことをするんだろう! なにをするんだろう? エクソシストみたいなこと、するのかなあ・・・?? きゃあっ! こわいけど、ワクワク。

 

で、翌日の朝。

パインニードル

「おお・・よう来てくださった」


 この人が、パインニードルさんかあ、なんか顔色が悪くて、元気ない人だなあ。声も小さくて、少しくらい感じ。うーん、悪霊に悩まされているから? それともとりつかれているからかしら、ドキドキ・・・


アルマ

「おはようございます、パインニードルさん」

パインニードル

「おや、今日はずいぶんとかわいらしい助手さんを連れてるね」

アルマ

「この子はメープルといって、いま魔女の修行をしているんですよ」

メープル

「はじめまして、パインニードルさん。魔女見習いのメープルです」

パインニードル

「パインニードルじゃよ、よろしくな、見習い魔女さん」

アルマ

「おくさんの具合はいかがです?」

パインニードル

「今日は天気がええからの、少しはいいようだが・・・」

アルマ

「そうですか・・・ではさっそく、家の中をみせて下さいね」

 

そういって、アルマ先生ったら、ずかずかと家の中に入っていっちゃった。私も慌てて、あとをおっかけて中に入っく・・・中にはいってびっくり! とつぜんお化けが・・というんじゃなくて、なんていうのかなー 壁の色のせいなのかな、なんとなく部屋がうすぐらくて陰気な感じがする。悪霊の気配なんてわたしにはよくわからないんだけど。
 それより、気になるのが家中ぐちゃぐちゃというか、ごみだらけでとにかく落ち着かない。こういっちゃ悪いけど、パインニードルさんってお片づけ下手だわ。あと、なんだろ・・・家の中くさい。カビの匂いもするし、なんかほこりっぽいし・・・

 アルマ先生は、ためらわずにあちこちの部屋のドアを開けてのぞいてる。うーん、悪霊祓いにきたというのに、ただじっくりと室内の様子を観察しているだけに見えるんだけど? こんなんでいいのかしら? むかし見た映画では、聖水をまいたり、お香をたいたり、呪文だとかを唱えて悪霊を呼び出してというような、そういうことやってたんだけど・・・まるで闘いみたいにね。でも、アルマ先生は何もしてないわ。悪霊ってどこにいるのかしら? 悪霊との対決はいったいいつなの? ドキドキ・・・

 

アルマ
「ミモザさん、こんにちは。」
ミモザ
「おや、これはアルマさん。わざわざ来てくださってすみません。ゴホッ、ゴホッ・・・」
アルマ
「お加減はいかがですか?」
ミモザ
「はい、今日は少しばかりよいのですけれど、どうにもここんところ、湿気のせいか足が痛いのと、いやな咳がおさまりません。ゴホッゴホッッ・・」
アルマ
「薬草を持ってきましたから、後でご主人にせんじてのましてもらってくださいね」
ミモザ
「いつもすみません、ありがとうございます。本当に、わたしが半年前から寝込んでしまってから、どうにも良くないことばかりで。」
アルマ
「・・・この部屋は他の部屋に比べて日当たりがよくないようですね。それから少しほこりっぽいわ。なるほど、わかりました。パインニードルさん、準備をしてあした出直してきますから。」
パインニードル
「ああ、わかったよ。あしたは女房と一緒に、オークじいさんとこに世話になるとするよ」

 

アルマ
「メープル、今のおうちを見て、何か感じたかしら?」
メープル
「いえ、ダメです。わたしには、悪霊の存在がわかりませんでした。」
アルマ
「いえいえ、そうじゃなくて。パインニードルさんのおうちをどう思ったかしら?」
メープル
「え? うーん・・・どうって、そうですね。悪霊の気配とかは解らないんですけど、古くてオンボロなおうちだからかしら? 壁が汚れていたりするせいか、薄暗くて日当たりが悪い感じがしました。それから、こんなこといったら失礼なんですけど、パインニードルさん、お片づけ下手ですよね。おくさんが病気だから仕方ないのかもしれないんですが、ごみは捨ててないし、台所はお皿が山積みだし、おそうじだって、何ヶ月していないんだろうって、そんな感じです。洗濯物もてんこ盛りだし、ミモザさんのシーツだって汚れてて・・・うーん、わたしとしてはあんまり長居したくないというか、落ち着かないおうちです。お茶を入れていただいたけど、とても飲む気がしませんでしたよ。早く帰りたいなあって、ずっと思ってました。もしかしたら、悪霊がいるせいかもしれないですけれど。」
アルマ
「いいところに気がついたわね、メープル。あ、ここはローズマリーさんのおうちだわ、ちょうどいいわ。メープル、少しお邪魔していきましょう」

 

ローズマリー

「やあ、これはアルマさん、いらっしゃい。よくおいでだね。おや、今日はかわいらしいお連れさんが一緒だね?」

メープル

「はじめまして、ローズマリーさん。わたし、メープルといいます」

アルマ

「こんにちは、ローズマリーさん。ごきげんはいかがですか? さっき、パインニードルさんのおたくにうかがった帰りなんですよ。あかぎれのほうはいかがですか?」

ローズマリー

「ああ、アルマさんに調合してもらった軟膏のおかげですっかりいいよ。おはいんなさいな、ちょうどケーキを焼いたとこだよ。お茶でもおあがりよ」

メープル

「うわ、ケーキですって! 感激!」


 さっきのパインニードルさんのおうちを見たあとだからかしら。ローズマリーおばさんのおうちってとってもきれい。お掃除が行き届いているだけじゃないわ。家具の配置もセンスいいし、なんていうかすんごく居心地がいいの。同じように古い家なんだけどね。日当たりもものすごくいいというわけではないのに、壁の色がきれいだからかなあ、明るくて光がここにはいっぱい、という感じ。お花も飾ってあって、家中いい匂いがただよっている。ローズマリーおばさんも陽気でおしゃべりで、なんていい笑顔をする人なんだろう。まるで陽だまりみたいに人だわ。ここって、空気もあったかくて、お茶もケーキも美味しくて、ついつい時間を忘れてしまいそう。
 
 うーん・・・この違いって一体なんだろう? ふしぎだなあ。

 

さて、いよいよ今日こそ本当の悪霊祓いだわ。うわー緊張する。でっ、でも。


メープル

「せ、せんせー 本当にこれらが必要なんですか?」

アルマ

「ええ、もちろん・・・これが無くてはお話にならないもの」

メープル

「ほうきにはたきにちりとり、バケツに雑巾・・・?? うーん・・なぜ、どうして?? ゆいいつ納得のいくものって、お花の香料と朝つみたての聖なるハーブたちだけだわ。はて・・・どうして悪霊祓いにバケツやほうきが必要なんだろか? わたしにはさっぱりわからないわ」

 

アルマ

「さっ、ついたわ。では、いまからこの家の悪霊を追い出しにかかるわよ」

メープル

「はっ、はいっ!」

アルマ

「よしっ!・・・さっ、はじめましょ、メープル、あなたはまず、ごみを集めて外に出してね」

メープル

「は、ははは、はいっ!」



 アルマ先生ったら、しばらく仁王立ちで家の中を見回していたかと思ったら、ようやく悪霊祓いの開始ね・・・やった! と思いきや、れれれれれ?? アルマ先生ったら、家中の窓という窓を開けて、家具を移動して、はたきを持って・・・・えっー? いきなり 掃除をはじめちゃったのよ! これってマジかしら? でも、そうか・・だから、あの道具なのね。でも、なんで悪霊祓いにきて 掃除に洗濯なの? なぜ、どーして?

 

ううーん・・すごい! 家具を移動して、家中のゴミと埃をだして、あちこちキレイに磨いたら、あーら 不思議。さっきまでの陰気でゆううつな雰囲気が消えちゃって、居心地のいいおうちに変身しちゃったわ。気のせいか、空気まできれいでかぐわしい・・

でも、久しぶりに力仕事をしたので、腰が痛―い。あいたたた・・


アルマ

「さてと、これで出来上がり」



 これからが悪霊祓いの本番か、と思いきや、アルマ先生ったらテーブルに新しいテーブルクロスを引いて、その上にハーブと花を飾って、花の香りをランプでたいて、聖なるハーブで編んだリースを玄関に飾っただけ。いったい、これってどういうことなんだろう?

 

アルマ

「どうかしら? メープル、昨日この家に来たときと、なにか違うことがわかったかしら?」

メープル

「うーん、昨日と同じ家とはとても思えません。別のおうちみたいです。なんか、きれいになって、とても気分がいいです。腰は痛いですけど。」

 アルマ先生に言われて、オークじいさんの家にいるパインニードルさんを呼んできた。


アルマ

「病人には、清潔な環境そして新鮮な空気と日光が必要不可欠です。ミモザさんのベッドは南向きの窓の下に移動しましたわ。家具の配置をかえて、湿気がこもらないよう、風通しがいいようにしました。それから、パインニードルさん、大変なのはわかりますけど、せめてお掃除は三日にいっぺんはしてくださいね。あと、ゴミは家の中にためこまないように、お洗濯ももう少しマメにしましょうね。手が足りなかったら、いつでも手伝いにこのメープルをよこしますから・・」

メープル

「(げっ!)」

パインニードル

「うーん、まったくめんぼくない。アルマ先生、いつもすまんですな」

アルマ

「いえいえ、どういたしまして、困ったときはお互いさまですもの。これで、この家に巣くっていた悪霊も出て行って、よりつかなくなるでしょう」

メープル

「???」

 

アルマ
「メープル、どうしてあれが悪霊祓いなのかって、不思議に思っているでしょう?」
メープル
「うっ! どーしてわかったんですか?」
アルマ
「いわれなくても、あなたの顔に書いてあるわよ」
メープル
「えっ! 顔に?」
アルマ
「うふふ・・・メープル。悪魔とか悪霊とかというのは、不潔でちらかってる環境が大好きなのよ。ゴミや洗濯物、埃なんかをたくさんためていると、彼らはすぐにそこに居座ってしまうの。人間が居心地悪いって環境が彼らにとってはとても住みやすくてね。お掃除なんかしてないと、彼らは喜んでいつまでも出て行かないのよ」
メープル
「うへえ、そうなんですか?」
アルマ
「そうよ。その代わり、悪魔も悪霊も、清潔できちんと整理整頓された環境が大嫌いでね。床なんかピカピカに磨かれて、いつもきれいにお掃除してあって、部屋中がいい香りで満たされているところなんかには、彼らは近寄れないのよ」
メープル
「なるほど」

 

アルマ
「それからね、昨日パインニードルさんのおうちへ行ったときの気分、覚えている? そのあと、ローズマリーおばさんのおうちへ行ったときの気分はどうだったかしら? 今日お片づけした前と後では、あの家にいて気分がどう違ったかしら?」
メープル
「ええっと、昨日はじめてパインニードルさんのおうちに行ったとき、昨日もいいましたけど、居心地悪くて気持ちよくなかったです。なんていうのかいるだけで落ち込みました。ローズマリーおぱさんの家は、すごく居心地よくて、人の家なのに自分の家みたいに感じられて、いるだけで楽しかったです。で、パインニードルさんの家も今日お片づけやお掃除をしたら、居心地悪いのが消えて、ローズマリーおばさんちにいるみたいに気分よくなりました。」
アルマ
「家って、とても大切な場所なのよ。とくに自分の家は毎日いる場所ですからね。家が不潔で居心地よくないと、メープルが感じたように気分も悪くなって、元気がなくなってしまう。そうするとね、運もツキも離れてしまいやすくなる。それからね、気分がよくないとか、落ち着ける時間が少ないと、心が弱ってしまうから、自然と悪いものを呼び寄せてしまいやすくなるの。それから、心が弱ると自然と身体も弱って、病気にもかかりやすくなって、治るのもなかなか治りにくくなるのよ。でも、いつも家が居心地よく手落ちつけると、自然と気分もよくなるから、いつも笑顔でいられる。すると、よいものを引き寄せることが出来るのよ、そして悪いものを遠ざけることも出来るの。運もツキも呼び寄せられるわ。心も身体も元気でいられるし。」
メープル
「・・・ってことは、いつもお片づけしてきれいに掃除をしていれば、悪魔や悪霊は家の中に入ってこれないってことですね! 毎日、気持ちよくすごして、笑顔をたやさなければ、運もツキも呼び寄せられて、ハッピーということですか?」
アルマ
「その通りよ、メープル」
メープル
「なるほどー! きゃー! たいへん、帰ったらさっそく部屋を片付けて、お掃除しなくっちゃ。それから、笑顔の練習も!」

 

★レッスン8★

あなたのお部屋はどうですか? 悪魔や悪霊が喜びそうな部屋でしょうか? きちんと整理整頓をして、掃除をマメにしていますか? ゴミを溜め込んではいませんか? たまには家具の配置替えをして、見えないところの汚れもとっておきましょう。
 そして、悪魔や悪霊が入ってこれないような、家や部屋にしておきましょうね。

 
 

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