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Herb Story

~ハーブにまつわる伝承と神話~

 
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スカボローフェアに行ったなら

パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

そこに住む その人によろしくと伝えて下さい

彼女はかつて 僕の真実の愛だったのです


木綿のシャツを作って下さいと・・・

(深い森の緑に囲まれた丘の斜面の)

パセリ、セージ、ローズマリーとタイム

(雪の上に残るスズメの茶色い足跡)

縫い目も、針の跡も残らぬように・・・

(毛布と夜具を着た山の子は・・)

そうすれば 彼女は本物の恋人になれるのです

(戦闘ラッパの音も知らずに眠る)


1エーカーの土地を見つけてほしいと・・

(丘の斜面に舞い散る木の葉が・・)

パセリ、セージ、ローズマリーとタイム

(銀色の涙で墓石を洗い・・)

海水と波打ち際のあいだの土地を

(一人の兵士が銃を磨く・・)

そうすれば 彼女は真実の恋人になるだろうと・・


皮の鎌で収穫を刈って欲しいと・・

(戦争のふいごが緋色の軍勢をたき付け・・)

パセリ、セージ、ローズマリーとタイム

(将官たちは兵に殺せと命じる・・)

そして ヒースの束にまとめてほしいと・・

(そして 彼らも忘れてしまった理由の為に戦えと)

そうすれば 彼女は真実の恋人になれるのです


by 「スカボローフェア」サイモン&ガーファンクル 

 

当社のバックグラウンド

「あなたにヘンルーダを、そして少し私にも。

日曜日の恵みのハーブとも言います。

ああ、でもあなたは

違った意味でヘンルーダをつけないと」

「オフェーリアを土の中に埋葬しろ。

彼女の美しい汚れのない肉体から、

スミレが生ずるかも知れないから」

​「ワームウッド、ワームウッド(苦い、苦い)」

シェークスピア「ハムレット」より

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ミントの物語

冥界の王ハデス(プルトー)はおよそ恋とは縁のない容貌の神で、愛妻ペルセフォネーの閉ざされた心も誠意と献身的な愛情から勝ち取ったのでした。
そんな彼がその妻を見初めたときのように地上へ出でし時、またもや恋に落ちてしまったのです。

ハデスの心を射止めたのは地獄の河神コキュトスの愛娘でニンフである美しいメンタ。ペルセフォネーは思いの外嫉妬深く、夫であるハデスの裏切りを見逃しませんでした。誇り高いペルセフォネーは恋敵を捕まえると鞭で打ちすえ、夫を魅了した可憐で清らかなその容姿を憎み、メンタをこの草に変えてしまったのです。
 
しかし、草となってその姿を変えられてしまっても、ミントの清々しい芳香は多くの人々の心を魅きつけずにはいられませんでした。

 
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バジルの物語

その昔、シシリー島にイザベラという娘がいて商売を営む兄弟たちと暮らしておりました。イザベラは兄弟の店で働いていた美しい青年のロレンツォと恋に落ち、情を交わすようになっていきました。


しかし、ある日悲劇が起きてしまいました。イザベラの情事に気付いた兄弟たちはロレンツォを誘いだして殺してしまったのです。イザベラは兄弟たちからロレンツォは旅に出たと聞かされましたが、待てども待てども恋人が帰って来ないので不安になり、帰って来て欲しいと泣き伏してしまいました。するとロレンツォの亡霊が枕べに現れ、自分がイザベラの側にはもう戻れないということ、自分は兄弟たちの手によって殺されたことを語りました。イザベラは恋人から告げられた場所を掘り起こし、愛しい恋人と再会することができたのでした。

彼女は恋人の頭を切り取ってリネンの布に包み、鉢の中に埋めてバジルをそこに植えました。自らの涙を水に捧げながら。この恋人の化身とも言うべきバジルを育てることがイザベラの唯一の慰めとなったのです。しかし、イザベラの様子をいぶかった兄弟たちはまたしてもこの鉢を彼女から取り上げ、壊してしまいました。イザベラは魂の抜け殻となり、悲しみのうちにその若い命を散らしてしまったのです。

 

当社のバックグラウンド

「彼女は恋人の頭をバジルの壺に埋め、涙を流した」

ボッカチオ

「デカメロン・リザベータの物語」より

かくて彼女はそれに絶えず涙を注ぎ

それはやがて太く青く美しく育って

フローレンスの香りを放った

なぜならそれは、人間の恐れや

隠されて急速に朽ち行く頭蓋から

栄養と生命を吸っていったから

キーツ

「イザベラ、バジルの壺」

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セージの物語

うっそうとした森の奥深く、一本の古い樫の木の根元に慎ましくセージの花が咲いていました。

ある日、森の静寂を破るように人間たちが狩りへ馬を駆ってやって来ました。樫の木の側に来たその国の王はセージの精の浮世離れした美しさに魅かれ、ニンフの方も始めて見る人間の雄々しさに心奪われてしまいました。
ニンフにとって人間に恋をすることは死を意味しますが、それでも魅かれあう二人の心に歯止めをかけることは難しく、セージの精はこの恋に命を預けることを誓ったのです。

若く猛々しい王の両腕にその身を預けたとき、格も短きこの恋は息絶え、ニンフの腕は力を失い、王はその命を引き戻そうと必死になりましたが、灼熱の恋に身を焼き焦がしたニンフの命の炎が灯ることはありませんでした。

 
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月桂樹の物語

ギリシャの青春の神アポロンの神木はもともとオーク(樫)でしたが、ある時からそれはこのベイに変えられました。それにはこんな逸話があります。

アポロンに身に覚えのない過ちで叱られたクピドは仕返しにアポロンを黄金の矢(最初に出会った女性に恋心を抱くようになる)で射抜いたのです。
彼は最初に出会った乙女、森のニンフであるダフネに出会い、すぐに熱い思いにとらわれましたが、すかさずクピドがダフネに矢を放ち、アポロンに対して嫌悪感を抱くように仕向けられていたのです。

アポロンの執拗な求愛に逃げ出したダフネは逃れられないと悟ったとき、神々に祈りました。その願いは聞き届けられ、ダフネは一本の木に姿を変えることとなりました。

アポロンはこの乙女を追い詰めた我が身の不幸を嘆き、ダフネが姿を変えたベイの木を自分の神木とすることに定めたのでした。

 
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チコリーの物語

チコリーにまつわる逸話は二つあり、その内の一つはドイツの片田舎に伝えられるもので、今でもドイツ人はこの草の事を“道端で待ち侘びる人”といいます。

昔、ある村にとても愛し合っていた恋人同士がおりました。でもその国で戦争が始まってしまい、年頃であった若者は戦場へと駆り出されてしまったのです。一人残された少女は愛しい人を見送った村外れの峠に立ち、恋人が帰るのを今か今かと待ち侘びておりました。でも愛しい人はついぞ現れず、少女はとうとう草になってしまいました。チコリーの花に、帰らぬ恋人の姿を追い求める瞳の青さを残して・・・

ルーマニアに伝わる話では、その昔フロリロールというまこと艶やかで世にも稀な美女がおりました。地上の様子をかいま見ていた太陽の神がこのフロリロールの美しさに目を止め、彼女に恋をしてしまったのです。地上に降り立った神は彼女に胸の思いを打ち明けますが、フロリロールは相手が神であることからよもや戯れだろうと本気にはしませんでした。彼女は哀れな恋の犠牲者には自分の身を堕としたくはなかったのです。このフロリロールの自分の求愛に対する拒絶に憤慨した太陽神は、フロリロールを花に変えてしまいました。かくてフロリロールはチコリーの花となり、朝から晩まで太陽を拝むことを強いられたのでした。

 
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ワスレナグサの物語

ある恋人同士がドナウ河のほとりを散歩していると、少女の目にある花がとても愛らしく映ったのでした。
青年は恋人の心を捕らえたこの青い花を、なんとかしてこの恋人の手に持たせてあげたいと思い、河の中央にある小島へ渡ろうと考えました。太陽は既に傾き始め、河の流れも決して穏やかとは言えず、少女は不安を感じて恋人を引き留めたのですが、青年はただひたすら恋人への愛を証明したいがために流れの中にその身を浸したのでした。

青い花を一束手にした青年は、恋人の元へ引き返そうとしたとき、激しく足を引きつらせ、流れの中に身体の自由を奪われてしまいました。青年は今にも泣き崩れそうな恋人の元に必死でその花を満身の力を込めて投げたのです。
「僕のことを忘れないで」と。

少女は花と愛とを残して滝の中に永遠に姿を消して行った愛しい恋人のことを生涯忘れず、青年が愛した金色の髪にその青い花を死ぬまで飾っていました。

 
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ミスルトーの物語

北欧の神であるオーディンと女神フリッグの一人息子バルドルは両親の寵愛を一身に集めているばかりか、他のあらゆる神々からも愛され大切にされていました。
そのバルドルを妬んだのが厄神ロキで、四大元素によって起こされるどんな災いや危険からも身を守られている麗しのバルドルをなんとか亡き者にしてやろうと企んだのです。

ロキはワルハラの近くに生えている一本の若いミスルトーが若すぎることでバルドルに誓いを立てなかった唯一の物であると聞きつけると、そのミスルトーの木を手に入れて矢を作りました。バルドルの不死身ぶりを競っている中にあって、たった一人離れて立っていた盲目の神ヘズルにロキはその矢を渡し、バルドルの体目がけて投げさせたのでした。

あわやバルドルはミスルトーの矢に射抜かれて息絶えたのです。母フリッガの嘆きは大きく、毎日毎日涙で明け暮れて、この愛の女神の激しい悲しみに痛く心を動かされた神々が哀れと思って、バルドルを生き返らせたのでした。
するとそれまで悲しみのために流されていた涙は喜びの涙に変わり、ミスルトーの白い実になったのです。

以来、ミスルトーはフリッガの祝福を受けた木となり、この木の下で交わされるキスは女神フリッガの愛に守られた真実の愛のキスの象徴になったのです。

 
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「ヒソップをもて我を清めたまえ。されば我清まらん」


聖書・詩編・第51篇7章

「イスラエルの家はその物の名をマナと呼んだ

それはコリアンダーの実のように白く、

蜜を入れたウエハースのようであった」

旧約聖書「出エジプト記」第16章31節

 

当社のバックグラウンド

「パジルの一枝を鉢の下に置けばサソリに変わる」

「この草を嗅いだだけで脳の中にサソリが湧く」


古い迷信より

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「庭にセージを植えているものが

 どうして死ぬ事ができようか」

古いアラビアの諺

「長生きしたければ五月にセージを食べよ」

13世紀の古い文献

 

「私、ボリジはいつも勇気をもたらす」


古いラテン語の詩


「ボリジのない庭は勇気に欠けた心のようだ」


イギリスの古い言い伝え

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「トレフォイル、ヴァーベイン、

ジョンズワート、ディルは

魔女の呪いを遠ざける」

古い諺

「ここに魔女の力を防ぐ威力を持つ、

ヴァーヴェインとディルがある」

ドレイトン「ニンフォディア」

 

「マグワートを朝、靴の中に入れて出かければ、

昼までに40マイル歩くことができる」

古い迷信より

「あなたの吐息はレモンバーム、砂糖、リコリスよりも甘く、

あなたはジリフラワーとも、

宝石箱を香らせるラベンダーの花ほどにも甘美である」

14世紀のイギリスの叙事詩より

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「あの家に行こう。

そこはシーツが真っ白に洗われ、

ラベンダーの香りがする」

イザック・ウォルトン

「ザ・コンプリート・アングラー」

 

「リア王」byシェークスピア
王へのエドガーの合言葉”スイート・マジョラム”

 
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「ヴィーナスのかわいいハーブよ、その名はヤロー

 私の愛する人は誰なのか 明日どうか教えておくれ」

古いおまじないより



「グリーンヤロー、グリーンヤロー、

白い花を咲かせる草よ

いとしい人が私を思っていてくれるなら、

私の鼻から血がほとばしる」

古い恋占いの方法より

 

「ジュリエットの亡骸にローズマリーを置きなさい」

ロミオとジュリエット


「スミレの花の色は淡いけれど、ジュノーのまぶたよりもヴィーナスの吐息よりもかぐわしい」

「マリーゴールド。日暮れと共にベッドにつき、朝日と共に泣きながら起きる花」


冬ものがたり

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古い詩歌より
「早く来い、イースター。ハレルヤ聖歌に
バター、チーズ、タンジー菓子が食べられる」

 
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【アイブライト】

属名のユウフラジアはギリシア神話の美の三女神であり喜びの女神でもある一人ユウプロシュネに由来する

【アンゼリカ】

疫病が流行った時、一人の修道僧の夢に大天使ミカエルが現れ、アンゼリカが悪疫を防ぐ優れた力があると伝えた。このお告げのお陰で人々は口の中に一片のアンゼリカの根を含むことで疫病を防いだという。この伝説は「聖霊の根」たるアンゼリカが5月8日の聖ミカエルの日に咲く事に由来している。

【ヴァーヴェイン】

属名「祭壇を飾る草」「鳩の草」などと呼ばれる。古代ドルイド僧は聖水としてまた予言・占いにこの草をよく用い、古代ローマではこのハーブの名にちなんだ祭礼が催された。キリストの傷を癒したハープとしても知られ、この草を摘み取るときは十字を切らないといけないとされる。そのことから悪魔よけ、蛇よけのお守りとされた。人に魔力を与える草と呼ばれ、手に傷をつけてこの草をつめれば、どんな鍵も錠も開くと言われた。惚れ薬としても用いられたが、こりハーブを入れたブーケを持てば夫の貞節と永遠の愛を手に入れられると信じ込まれたことから結婚式の朝に花嫁が自ら摘まなくてはならないとの迷信もある。

【ヴァレリアン】

異性を引き付ける催淫剤として知られ、惚れ薬として使われた。このハーブを身に着けた女性は恋人を欠かすことがないという。「ハーメルンの笛吹き男」は魔法でなく、このハーブでネズミを操ったという説もある。

【ウォールジェルマンダー】

属名の「テウクリウム」は古代トロイの王テウケルに由来する。

【エルダー】

馬や牛小屋にこの木の十字架をかければ厄除けになり、この木を切る事は縁起が悪いとされる。

17世紀の文献に魔女が家の中に入ってこれないように4月30日にエルダーの葉を取ってきて戸口や窓に飾る古い習慣が記されている。

【エレカンペイン】

種名「ヘレニウム」はメネラーオスの妻ヘレネが語源であり、パリスがブリスギアに彼女を連れ去る時にこのハーブを持っていたからという説、毒蛇に噛まれたときに彼女がこのハーブを使ったという説、彼女の涙から生まれたという説、このハーブが一番よく育つ島ヘレナ島に由来するという説などがある。

【ガーリック】

カントリーネームは「悪魔の花束」 ユリシウスが魔女キルケから逃れることが出来たのはガーリックのお陰であったとされる。

【キャットミント】

この根は「おとなしい性格の人を強く、荒っぽい気性に変える」と言われ、死刑執行人はこれを食べないことには仕事が出来なかったという。

【キャラウェイ】

惚れ薬の成分としても使われ、恋人同士をしっかりと結びつける効果があったという言い伝えがある。そしてこの種子を焼きこんだパンを餌として食べた鳩ははぐれることなく巣に戻ったともいわれている。

【グッドキングヘンリー】

種名のヘンリクスは魔力を持つ妖精ヘインズとヘインリッチに由来する。


【ジュニパー】

聖母マリアは幼子イエスをこの木の後ろに隠し、ヘドロ王をくらましてエジプトへと逃れることが出来た。以来この木は保護の象徴として知られる。


【スイート・ウッドラフ】

メイディ5月1日にはこのハーブを摘み、ワインやイチゴと合わせた飲み物を作る習慣があった。これはメイ・ポール、メイ・タンク、メイ・ドリンクと呼ばれ春が来たことを祝う、ワイン・パンチであった。6月11日の聖バルナバスの日にはこのハーブとラベンダーなどで創った花輪で教会我が飾られた。


【セイボリー】

属名のサチュレイアはギリシャ神話の半人半獣の神サティロスに由来する。

【セント・ジョンズ・ワート】

洗礼者ヨハネに捧げられたハーブ。属名のヒペリクムはギリシャ語で「悪魔を制する」という意味。葉に見られる小さな斑点は悪魔がその針でこのハーブをやっつけようとした痕であるという。また、このハーブの魔除けの威力や薬効は聖ジョンに由来し、首をはねられた時に出た血がこの葉をつぶすと出す赤い汁になったという。聖ジョンの日の前日の朝早く、人々は露が乾かぬうちに一年分このハーブを摘みに行く。そしてその露は悪魔よけの聖水として大切に保管された。

【タイム】

中世の騎士道精神華やかりし時代において、貴婦人は一枝のタイムとミツバチを刺繍したスカーフを夫や恋人である騎士に送る習わしがあった。タイムは勇気、活動、行動力の象徴で同時に気品と優雅さの象徴でもあり、「タイムの香りがする」というのは容姿の良い人に対する最高の誉め言葉であった。シェークスピアの「真夏の夜の夢」にも妖精の女王タイターニアの寝床が「野生のタイムが生い茂る堤」として描かれているように、古くから妖精の好むハープとして言い伝えられている。

イギリスのある地方では見つけるために「タイム、ミント、ラベンダー」の枝を身に着ける習慣もあった。

 
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【ナスタチューム】

属名トロパムルムは「トロフィー」の意味でトロイの戦士が流した血から生じた草と言われる。花は金のヘルメット、丸い葉は盾を象徴している。


【バジル】

インドではホーリーバジルがツラシと呼ばれ、クリシュナ神とヴィシュヌ神に捧げられるヒンズー教の神聖なるハーブとして知られている。このハーブは天国への扉を開けるとして亡き人の胸にこの一葉が置かれ、ペルシア、エジプトでは墓に植える草とされている。人をにらみ殺す伝説的怪物バジリスクに語源があるとの説もある。古代ギリシャでは語源のバジリスクのことを「王」と言ったのは「王宮にふさわしい香りを持っていた」からとされている。それとは別に憎悪、不幸の象徴として「貧乏」を描くとき、ぼろをまとった女かがバジルの傍に座っている図として描かれることもある。古代ローマではバジルの種を蒔くときはののしったり、あざけったりしながら撒かないと発芽しないと言われた。

また愛の印、惚れ薬としての迷信もあり、モルタヴィアではこの草の一枝を手渡された若者はその娘を永遠に愛するようになるという。クレタ島では「涙に浄められた愛」の象徴とされ、イタリアでは恋人に会いに行く若い娘はこの草を髪飾りにつけたという。

【パセリ】

ギリシャ神話では英雄アルケモラスの血から生えた草とされる。古代ギリシャでは闘いの勝者に冠として与えるハーブであり、花輪として墓に備えられた。

発芽に時間が掛かることから、「死者の国ハデスの使者として地獄と現世を9回も往復してからでないと芽が出ない」と言われている。そのためパセリを植えると一年以内に家族の中で死人が出るとの迷信も生まれた。

【フェンネル】

ギリシャ神話ではプロメテウスがフェンネルの茎に太陽の二輪車の火をうつし取り、人間のために持ち帰ったとされている。

イギリスでは魔除けとしてミッド・サマー・ディ6月24日の前夜にセント・ジョンズ・ワートなどのハーブとともに束ねて戸口にかける習慣があった。


【フォックス・グローブ】

ノルウェイでは北欧神話にもとづいて、このハーブを「フォックス・ベル」と呼ぶ。悪い妖精が狐に与えたハーブで狐はこれを足にはめると足音をたてることなく鶏小屋に忍び込むことが出来るからだという。

古くから妖精が棲む花として詩や物語にも描かれ、「フェアリーズグローブ(妖精の手袋)」「フェアリーキャップス(妖精の帽子)」、妖精の指ぬきといった名前で親しまれてきた。それとは対照的にアイルランドでは「死人の指ぬき」という不吉な名称で呼ばれている。


【ベイ】

ローマ人はこの木を「良い天使の木」と呼び、この枝で編まれた月桂冠が戦闘や競技の勝利者、詩人たちの頭上を飾った。中世ではこの木の枝を恋人同士が取り交わし、恋占いに用いる習慣があった。それは2月14日のバレンタインの日に互いに枕の下に枝を入れて「ヴァレンタイン様、お願いです。夢で恋人に合わせて下さい」と祈ってから眠りにつき、互いの夢を見れば一年以内に結婚できるというものである。


【マグワート】

家の中に吊るしておけば家族を悪魔から護る事ができると言われている。とくに聖ヨハネの日の前日(12月26日)に積んだマグワートは病気、不幸を防ぐという。

【マジョラム】

古代ギリシャでは愛と美の女神ヴィーナスが海の水から創り出し太陽の光をたくさん浴びるように一番高い山に植えた草と信じられている。また、このハーブはキュプラス王キニラムに仕えた若者アマラコスの化身とされている。彼は運んでいた王の高価な香水を落として割ってしまい、ショックで気絶してしまったところ、神が彼をこのハーブに変えたという。

【マートル】

ギリシャ神話ではミネルヴァが愛した美女ミルシーヌに由来する。ローマ神話においてパリスがビーナスに黄金のリンゴを差し出したとき、女神の髪に飾られていたハーブがマートルだったという。イギリスでは花嫁の花束にオレンジの花とともにマートルの枝を入れ込むのが習慣で、ブライドメイドが持ち帰り、その枝を庭に植える。すると結婚式から数年後にはマートルは花いっぱいの繁みとなる。故にこの木は愛の象徴なのである。

【マリーゴールド】

カレンダーに記したように毎月1日に決まって咲くので「カレンデュラ」という属名がつけられた。見告げの祭り「3月25日のレディディ」頃に黄金色の花を咲かせるので聖母マリアに捧げられる花となった。

【マンドレーク】

古い絵では雄株の根が男性、雌株の根が女性として描かれることが多く、絞首台の下に生える草と言われ、その根に囚人の霊が宿ると信じられていた。そのため根を引き抜くときに恐ろしいうめき声を上げるので、それを聞いたものはその場で死ぬという迷信すらあった。故にこの根を抜くときは犬に綱を付けて引っ張らせ、耳を塞がなければならないという。ロミオとジュリエットの中でもこの悲鳴を聞いたものは狂人になると書かれている。

古代ギリシャでは魔女キルケのハーブのひとつで、魔力をそのままにしてこの根を抜くためには真夜中に風上に立ち、その周りを剣で三回三重に円を描き、犬に引かせて掘り出した後にキルケはこの根の汁を飲ませた男たちを豚に変えたという。

【ムーレイン】

ギリシャ神話ではヘルメスがオデュセウスにこの茎を与え、そのお陰で魔女キルケの呪術を退けることが出来たとされる。


【ヤロー】

属名のアキレアは古代ギリシャの英雄アキレスに由来する。彼はトロイ戦争にて負傷した兵士たちにこの草を用いて効能を広めた。伝説では彼は半人半獣の神カイロンからこの薬効の教えを授けられたという。


【ルー(ヘンルーダ)】

ギリシャ神話では魔女キルケの魔除けとしてマーキュリーがユリシウスに与えたハーブのひとつ。また、ルーは紋章に描かれた数少ないハーブの一つでもあり、12世紀に神聖ローマ皇帝バルバロッサは初代サクソニー公爵の紋章にこの花冠を赦し、20世紀には君主であるウェールズ皇太子のちのジョージ五世に贈られた。

ペストが流行した中世マルセイユにおいて疫病に掛からず泥棒を働きまくった4人組が使用していた殺菌剤「4人の盗賊のビネガー」の材料に使われているハーブとしても有名である。

【レディスベットストロー】

聖母マリアはキリスト降誕の際、このハーブの上に横たわっていたという。

【レディスマントル】

属名のアルケミラはアラビア語の「アルケメリッチ(錬金術)」に由来し、このハーブの葉にたまる雫が賢者の石を作るのに用いられたとされる。

【ローズマリー】

香りか強く、いつまでも残ることから「愛における貞節」のシンボルとして花嫁の身に着けるものとして欠かせなかった。古い習慣では束ねたローズマリーを貞節の象徴としてブライドメイドが結婚式の朝に花婿に届けた。結婚式に招かれた人々にも同じような意味合いからローズマリーの花束が贈られた。聖アグネスの日(1月21日)の前夜にはローズマリーの枝を枕の下に入れて眠ると、夢の中に未来の夫か現れるという恋占いもある。

「記憶・想い出」の象徴として故人を「忘れずに」との意味で弔いにも用いられ、棺桶が家を出る時にローズマリーの枝が会葬者に手渡された。そして棺に土がかけられるとき、ローズマリーの枝がそれぞれに投げ入れられる。

元来、ローズマリーの色は白色であったが、聖母マリアがイエスを連れてエジプトに逃げる途中、ローズマリーの繁みに衣をかけて休んだ。それ以後、ローズマリーの花は彼女の淑徳を表す、透き通るように清らかな青色に変わったという。そしてマリアはイエスの産着を洗ってこの繁みに干していた。するとローズマリーに産着を通してイエスの力がうつったとされる。


【ワームウッド】

属名アルテミジアは月の女神ダイアナ(アルテミス)に捧げられたことからに由来する

シェイクスピアの「ハムレット」の中では王妃の厳しい言葉のことをハムレットが「ワームウッド、ワームウッド」と揶揄する場面があるが、これは「苦いぞ、苦いぞ」という意味である。

【ローズ】

属名の「ロサ」はギリシャ語のロドンに由来している。これは古代のバラは真紅でギリシャ神話においてアフロディーテに愛された美少年アドニスの流した血から生じた花とされているからである。古代ローマ人にとってパラは喜びの象徴であり、飾るだけでなく床に巻き散らし、ワインにもその花びらを浮かべて楽しんだ。結婚式では花嫁花婿はこの冠を頭に乗せて、勝利者の行進する通りにも花弁は巻かれた。

【ヘリオトロープ】

ギリシャ神話では水のニンフ、クリュティエの化身である花と伝えられている。クリュティエは太陽の神アポロンに思いを寄せたが、その愛は受け入れられず、死後アポロンは彼女をこの花に変えたとのことである。


【スイートバイオレット】

ギリシャではイオーネと呼ばれるが、神話においてジュピターに愛された娘イオの名が由来であるという。ジュピターは妻ジュノーの嫉妬を恐れてこの娘を牡牛に変え、この草を食べるようにと作ったそうである。ジュピターの永遠の愛、思いやりの象徴としてこの花は恋人たちが取り交わす愛の証とされた。

 

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